源氏物語語彙用例総索引(自立語篇)

語彙用例総索引

 この索引は源氏物語の語彙を計量分析するために作成した品詞コード付本文 データベースを用いて、前後10語程度の文脈つき索引(KWIC)として出力し たものです。
 本文は『源氏物語大成』(中央公論社刊)を用い、 『日本古典文学大系』(岩波書店刊)と 『日本古典文学全集』(小学館刊)の対応する頁・行数も示しました。
 源氏物語全54巻の総語数は約38万語にも達します。 それに前後の文脈を付けると1万頁を越えるものとなりますので、 先ず自立語篇を刊行し、付属語篇は平成7年に刊行する予定です。


編者略歴

上田 英代 1972年 東京教育大学国語国文学科卒業 現 在 古典総合研究所所長 村上 征勝 1974年 北海道大学大学院工学研究科博士課程修了 現 在 文部省統計数理研究所及び総合研究大学院 大学教授 工学博士 今西祐一郎 1974年 京都大学大学院文学研究科博士課程中退 現 在 九州大学文学部助教授 樺島 忠夫 1956年 京都大学大学院文学研究科博士課程中退 現 在 神戸学院大学教授 上田 裕一 1966年 東京大学医学部医学科卒業 現 在 もとぶ野毛病院院長 医学博士

「源氏物語研究に期を画する宝典の出現」

 ことばが抜き差しならぬ在り様を呈しつつ組みあげられる稀有の世界、 それが源氏物語の特筆大書すべき特色の一つであろう。
 私は、『源氏物語語彙用例総合索引』をまず任意に繙き、 一語一語を抱く文・文節を目にさらし、さらにそれぞれが 織り込められている場面・状況を脳裡に甦らせながら、 その一語一語が文脈のなかで固有の表情をもって息づいている ことを実感する知的悦楽に身を委ねたことであった。
 それにつけても、従来の用語索引をまったく無用化する、 このような宝典の提供によってもたらされるものは何で あろうかと思案せずにはいられないのである。
用語調査のための労力が大いに省かれる利便といったレベルを大きく 越えて、源氏物語がいかに読まれるべきかについて、 きびしい・方法的省察・錬磨が要求されることになるであろう。 私は私なりに胸の躍動を禁じえないのである。
                                   秋山 虔(駒澤女子大学教授)

「待望の工具 源氏物語語彙用例総合索引」

 古典の用語の検索については、八十数年前に「国歌大観」があり、七十余年前に「万葉集総索引」があって、和歌史、国語史の研究の発展に大きな寄与をなしたのは周知のことである。 ことに「総索引」は、求める語句について直ちにその用いられた短歌の全形又は前後に 続く歌句を知ることができる点で、計り知れない恩恵を我々は与えられているわけである。 源氏物語については、早く精細な語彙索引が公刊されているが、残念ながらその語句の使用の文脈は、一々その出所たる本文に立ち返る必要があった。 近年電算機の進歩によって、KWIC(key word in context)の作成が源氏についてもいろいろ試みられているようではあるが、 ここに、源氏物語大成本を底本とする慎重な用意のもとに、一つの源氏物語の文脈付き総索引が完成して刊行されることとなった。 物語の中のこの大作の研究について、その用語に関連する作業について、我々は、(いささか文脈の長さに制限はあるものの) 待望の工具を手にいれるわけである。
 源氏門外の私にしても、六十年前かいまみた空蝉の末段の、「さるは」の用法、「なん」の切れ続き、「つみ」又は「つみさりどころ」の意味などについての疑問を未だにそのままにしているが、それらはこの度の総索引でたちまち源氏内部において解を得ることになるのであろう。 いわんや源氏のみならず、中古文学の、中古語の専門研究家にとって、 その利用の有益さは特にここに言うまでもないことと思う。
                                   林   大(元国立国語研究所所長)

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