<はちす>
出現する巻と本文(新日本古典文学大系 源氏物語;岩波書店)
「朝顔」  p272-10
おなじにとこそは、
なき人をしたふ心にまかせてもかげ見ぬ三つ瀬にやまどはむ
とおぼすぞうかりけるとや。

「若菜 上」  p277-12
いまはたゞ迎ふるを待ちはべるほど、その夕べまで、水草清き山の末にて勤め侍らむとてなむ、まかり入りぬる。

「若菜 上」  p280-13

生ける世に行き離れ、隔てるべき中の契とは思かけず、おなじに住むべき後の世の頼みをさへかけて、年月を過ぐし来て、

「若菜 下」  p378-06
池はいと涼しげにて、の花の咲きわたれるに、葉はいと青やかにて、露きらきらと玉のやうに見えわたるを、「かれ見たまへ。をのれひとりも涼しげなるかな」とのたまふに、

「若菜 下」  p378-12
消えとまるほどやは経べきたまさかにはちすのかゝる許を

「鈴虫」  p070-01
夏ごろ、の花の盛りに、入道の姫宮の御持仏どもあらはし給へる、供養ぜさせ給、このたびはおとゞの君の御心ざしにて、御念諦堂の具どもこまかにとゝのへさせ給へるを、やがてしつらはせ給ふ。

「鈴虫」  p070-11
閼伽の具は、例の、きはやかにちいさくて、青き、白き、紫のをとゝのへて、かえうのほうを合はせたる名香、蜜を隠し、ほゝろげて焚き匂はしたる、一つ薫りに匂ひあひていとなつかし。

「御法」  p179-15
千年をももろともにとおぼししかど、限りある別れぞいとくちおしきわざなりける。いまはの露も異事に紛るまじく、後の世をとひたみちにおぼし立つことたゆみなし。

「幻」  p201-09
いと暑きころ、涼しきカにてながめ給に、池のの盛りなるを見給に、いかに多かる、などまづおぼし出でらるるに、ほれほれしくて、つくづくとおはするほどに、日も暮れにけり。

「匂宮」  p217-07
明くれ勤め給やうなめれど、はかなくおほどき給へる女の御悟りのほどに、の露も明らかに、玉と磨き給はんこともかたし、五つのなにがしも猶うしろめたきを、われ、此み心ちを、おなじうは後の世をだに、と思ふ。

「蜻蛉」  p297-11
の花の盛りに、御八講せらる。六条院の御ため、紫の上などみなおぼし分けつつ、御経、仏など供養ぜさせ給て、いかめしくたうとくなんありける。

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